学術都市オールド・シャーレアン(Old Sharlayan)
学術都市シャーレアンは北洋諸島に浮かぶ純白の学術都市。知神「サリャク」を守護神とする知の都であり、世界最高水準の学術機関である「シャーレアン魔法大学」をはじめ、さまざまな研究団体や学術組織が軒を連ねている。その国旗には巻貝が描かれているが、“巻き貝”は、その螺旋状の構造から知神サリャクが河に流した“知識の水”を永遠に溜め込む存在と考えられ、“知識の蓄積”の象徴と考えられるようになった。そのため学術都市であるシャーレアンの国旗には、この“巻き貝”の意匠が用いられている。
シャーレアンの興りは第六霊災に遡る。第六霊災ではエオルゼア全土を大洪水が襲ったのだがその時、十二賢者と呼ばれる者たちが危機に立ち向かい、多くの人々の命を救ったと言われている。その十二賢者の中にニュンクレフと呼ばれる北洋出身のルガディン男性がいた。
占星術により厄災の到来を予見したニュンクレフは、職人を手配しつつ、自身も工具を握り巨大な木造船を建造する。そして厄災の時には仲間の船乗りを率いてエオルゼアへと救援に向かい、洋上で大勢の漂流者たちを救い出した。しかし、そのニュンクレフの船にも大津波が迫る。ニュンクレフは一か八か、古の魔法により船ごと強制転移するという荒業を実行し、見事成し遂げる。ニュンクレフの船はやがてギラバニア山脈の山上に漂着した。洪水が引いた後、ニュンクレフの率いる一団はエオルゼアを北へと移動し、低地ドラヴァニアから故郷である北洋を目指して船を出した。長い旅の末辿り着いた北洋諸島の島で彼は集落を築いた。これが後のシャーレアンであると言われている。
シャーレアンの国家運営は哲学者議会により行われている。かつて人口の少なかった時代には、すべての成人市民が議場に集まり政策を議論していたのだが、この時「哲学者の広場」を議場として用いたために「哲学者議会」と呼ばれるようになった。現在は成人したシャーレアン市民から投票によって選ばれた99名の議員たちで構成される「哲学者議会」が主導する間接民主主義体制へと移行しており、最高権力者は哲学者議会議長ということにはなっているが、その権力は法により強く制限されている。
知の都として発展し、人口の増えたシャーレアンは北洋諸島の本国のほかに、アルデナード小大陸内の低地ドラヴァニア地方、現在イディルシャイアとなっている場所に「植民都市」を建設し入植したが、ガレマール帝国の第一次エオルゼア侵攻により"銀泪湖上空戦"が行われた第六星暦1562年に、この低地ドラヴァニア地方の植民都市を放棄し北洋諸島の本国へと一夜にして大撤収を行った。いまでも植民都市跡地には貴重な植物資料を収監していた聖モシャーヌ植物園や貴重な文献資料の宝庫であるグブラ幻想図書館などの施設がそのままの形でのこされている。
この大撤収を指揮したのが、賢人ルイゾワの子でシャーレアン哲学者議会議員であるフルシュノの一派であったとされる。因みに言うまでもないがフルシュノの子、アルフィノとアリゼーは共にシャーレアン大学の出身であり、暁の血盟のメンバーである。
アルデナード小大陸の北西の海域に浮かぶ島々を指して北洋諸島と呼ばれる。北洋諸島周辺は雨や霧が多く、海が時化ることが多い。そのためこの地方に住む種族を「雨」を意味する「ルガン」と「人」を意味する「ディン」を組合せてルガディンと呼び、またこの地域の者はガタイがよく、荒波にも強いルガディン・ゼーヴォルフ族を中心とした屈強な海洋民族海が統べる地域であった。この海賊たちの拠点であるエルスレント島はルガディン族のルーツとされている。そのエルスレント島の南方に知の都と呼ばれる学術都市シャーレアンの本国がある。シャーレアンの北にはハーム島、東にはヨーン島がある。かつてシャーレアンの南にはバルデシオン委員会の本拠師であったバル島もあったが、アルテマ級の魔法攻撃を受け島ごと消滅したと考えられていた。ところが近年になってクガネの南方沖で見つかった島が北洋にあったバル島であることが確認され、何らかの魔法により島ごと転移されたものと考えられている。